エレクトロニカの牙城 PROGRESSIVE FOrM の記念すべき第一弾アーティストでもある、青木孝允とのユニット SILICOM を経て、ソロアーティストとしては、ニューヨークのカーパークやドイツのカラオケ・カーク、日本ではデイジーワールドなどからリリースを重ねつつ、そのほかにもデヴィッド・シルヴィアンのワールドツアーへの参加や UA やコーネリアスのミュージックビデオ制作など、精力的に活動を続ける高木正勝が、2006年時点での自身のキャリアをライヴ盤としてまとめてみせたのが本作。データとしては、2006年の10月にラフォーレミュージアム原宿にて3日間に渡って開催されたコンサートをライヴレコーディングしたものから、高木自身がセレクト/ミックスしている。エンジニアはボアダムス、バッファロードーターなどでの仕事で有名な ZAK 。いまだにエレクトロニカというカテゴライズを通して高木を認識している向きには意外かと思われるかもしれないが、このときのコンサートは、自身もピアノを弾くのはもちろんのこと、 OLAibi 、高田漣、ヤドランカ、 UA などを含む10人のミュージシャンの手によって、すべての楽曲が生演奏によって再現された。荘厳な声楽で幕を開ける本作は、彼の代表作をメインに、その時点での最新ミニアルバムである「Air's Note」からの楽曲や、このコンサートで初披露された新曲が5曲、また、エプソンのCM曲 "Grace" や、公文式のCMでも有名な "Girls" も収録されている。エレクトロニクスをベースに制作された楽曲群を、あえて、一回性の生演奏によるコンサートという形によってリプレゼンテーションしてみせた高木の「意思」が、静かに立ち上がる瞬間が目撃できる。
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