A Tribe Called Questのプロダクションチームとして知られるThe Ummahのメンバーとしてシーンで頭角を表し、後にスラム・ヴィレッジのメンバー、そしてソロのプロデューサーとしてヒップホップの音楽的な発展に計り知れない功績を残したJay DeeことJ Dillaが、故郷のデトロイトからLAに拠点を移して2006年にリリースしたフルインストゥルメンタルアルバム。前年にリリースされたコモンの傑作アルバム「Be」でも"Love Is…"と"It's Your World, Pt. 1 & 2"の2曲で素晴らしい手腕を披露するなど、プロデューサーとして脂の乗り切った時期にリリースされた本作でJ Dillaは、最新のエレクトロニクスやアイディアを駆使して優れたソウルミュージックの偉人たちが表現してきた音楽性や精神性をヒップホップというフォーマットの中で再構築することに成功。結果としてヒップホップというアートフォームをさらなる高みへと導き、ヒップホップシーンだけでなく、アメリカのブラックミュージック史に燦然（さんぜん）と輝く金字塔を打ち立てた。このアルバムは32歳の誕生日の2006年2月7日にリリースされ、その3日後にJ Dillaは惜しまれながら他界した。