2002年にアルバムデビューを果たした女性R&Bシンガー、ソランジュが約4年の制作期間をかけて2016年に発表した約8年ぶりのサードアルバム。"インタールード"を含めた約半数の曲に参加したラファエル・サディークをはじめ、リル・ウェイン、BJ・ザ・シカゴ・キッド、Qティップ、サンファ、Kwes.といったゲストが要所にスパイスを加えているが、本作を通じて感じられるのは全体のプロデュースとソングライティングも手掛けた彼女自身のアーティストとしての成熟だ。穏やかなやさしさや可憐さの中に静謐（せいひつ）な力強さも感じさせる表現力、豊かな歌声とアンビエント感覚あふれるメロウで洗練されたサウンドで描き出すコンシャスな世界観は、彼女が"Beyoncéの妹"という重圧を乗り越えて新たな地平に立ったことを強く印象付けた。