mariko

mariko

98年、島根県にあるレーベル PLANKTONE から500枚だけひっそりと発売された、英語詞による(2曲のみ日本語詞)ピアノ弾き語りの女性シンガーソングライターのアルバムが、一部で話題を呼びはじめた。その後、2001年に再プレス/全国流通されるまでの3年という年月は、その音盤の「不在」による彼女への渇望を加速させ、そしてその渇望は、待望の再発と共に見せた、彼女の名前の爆発的な広がりに拍車をかけた。その女性シンガーソングライターが浜田真理子であり、そして、その作品が彼女の初めてのアルバムとなる本作「mariko」だ。彼女自身が弾くピアノだけをバックに歌われる歌の数々は、その歌詞の反復性ゆえにブルースや唱歌を思い出させもし、また、彼女自身の体験を元にしたと思われる、不器用ながらも徹底して恋に生きる者の心情を歌い上げた歌詞は、その刺し違えんばかりの覚悟が胸を打つが、だからといって、彼女のこれほどまでの神格化は、そういった表層の分析で説明のつくものではない。 "song never sung" や "のこされし者のうた" のピアノの一音目が鳴った瞬間、雲の切れ目から一筋の光明がもれてくるかの宗教的ともいえる体験の集積が、彼女へのファンの心酔を形成しているとするなら、彼女をめぐるこれ以上の言説がどうして必要となろう。

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