日本の正統派ホーボー系シンガーソングライターの系譜にその名を連ねるおおはた雄一の、4枚目にあたるオリジナルアルバムがこの「Music from the Magic Shop」だ。「ふたつの朝」以来、オリジナルアルバムとしては2年半ぶりとなる本作は、プロデュースを初めて自分以外の人間に委ねたという意味でも、彼のディスコグラフィにおいてエポックメイキングな作品として位置付けられるだろう。ノラ・ジョーンズ "Don't Know Why" の作曲者としても知られるシンガーソングライターのジェシー・ハリスとリチャード・ジュリアンという2人のアーティストがその委ねられたプロデューサーということもあり、本作は、彼らの根城であるニューヨークにて録音された。タイトルのとおり宇宙を感じさせもするコズミックフォーキーチューン "スターシップ" に始まる本作は、空間の鳴りを見事に記録したパーカッションや、伝統的なポップスの構造から解放された自由度の高いソングライティングなど、かの地における、日本とはまた違ったおおらかなレコーディングマナーがそうさせたと思わしき自由さに満ちあふれた内容となった。イラストレーターの小池アミイゴとクラムボンの原田郁子も作詞で参加。