パリ生まれ東京育ちのフランス人である DJ Alex from Tokyo と、エンジニアやサウンド・プロデュース、編曲業までこなす熊野功雄が結成したユニット TOKYO BLACK STAR 。ベルリンのレーベル Innervisions から4枚のEPをリリースし、高まる期待と機運の中で発表されたIstアルバム「BLACK SHIPS」は、デトロイト・テクノ・マナーの壮大なサウンドスケープと心地よいアシッド感、そして深いところへと潜っていくかのようなダークネスを貫く、芯の通ったアルバムとなった。しかしながら、各楽曲のバラエティは驚くほど幅広いのがこの作品の面白みで、作品世界の扉を開く理想的なイントロダクション “Powder Dreams” から、ディープな陶酔と覚醒感を持つ “Caballero” 、パーカッションとアバンギャルドなシンセがエレクトリック期 Miles Davis のごとく絡む “Viorent Rush” への流れだけで、このアルバムが、いかに自由なマインドで作られたダンス・アルバムかが分かるだろう。前述した4枚のEPからの楽曲もしっかりとアルバム構成の中に組み込まれている点も実に巧みだ。