西海岸のギャングスタR&Bシンガー、TQ の4thアルバム。98年のデビュー作から哀愁メロウな名曲 "Westside" がヒットし、ヒップホップ・ファンにも支持されるサグ・シンガーとして一躍その名を知らしめた。滑らかにラップするように歌う独特の歌い回しも人気の要因で、男臭くも哀愁味を帯びたスムースな歌い心地は、70年代ソウルとハードコアなギャングスタ・ラップを並行して愛聴していたという彼の嗜好そのものだ。今作 「Paradise」 でも、お馴染みの哀愁節は健在。 TQ の歌唱法と同様、シンギング・ラップでハーモニーを奏でるラップ・グループ BoneThugs-N-Harmony のメンバー Krazie Bone を迎え、過酷なストリートでの生活から逃れ楽園を探し求めるといった内容の"Paradise"には冒頭から胸が熱くなる。 Marvin Gaye の有名曲フレーズも飛び出し、ソウルフルなゴスペル歌唱で高らかに歌い上げた"Sexy"、アトランタの人気ヴォーカル・グループ Jagged Edge が至福のコーラス・ワークで参加した"I Don't Know"など、培われたキャリアのほどを窺い知れる濃厚でタフな仕上がり。