EDM、中でもとりわけトロピカルハウスを得意とするDJとして日本でも高い人気を誇るジョナス・ブルー。2018年にリリースされた本作は彼のデビューからの代表曲がほぼ網羅されており、デビューアルバムにして早くもベストアルバムのような風格だ。ラップデュオのジャック＆ジャックをフィーチャーし、キャッチーなエレクトロポップに仕上げた「Rise」から、リアム・ペイン、レノン・ステラとコラボレーションしたR&Bポップ「Polaroid」など、曲調はさまざま。アッパーな常夏のアンセムから、夕暮れのビーチを吹き抜ける暖かい潮風を思わせるメロウチューンまで、曲ごとに表情を変えていく。しかしここで一貫するのは、多くのEDMアーティストがそうであるようにダンスアルバムとしてのフィジカルな機能性に徹するのではなく、ポップアルバムとして各曲の独立したクオリティにこだわっている点だろう。DJやリミキサーよりもソングライターであるジョナスの個性が際立った一作。