ここ数年、激烈なライヴ・パフォーマンスで評価を高めてきたバンド=マスドレが、その音をメジャー・フィールドで問う第1弾アルバム。前作「ワールドイズユアーズ」以降に正式メンバーとして迎えたドラマー・吉野功を含めた3人体制での一作目でもある。最初から最後の曲までタフなギター・ロック・サウンドが駆けていく仕上がりだが、安定したリズムを得た石本知恵美のギターはさらに硬質な響きをたたえており、土ぼこりが立つようなその勇猛さはUSインディに通じるものを感じさせる。しかしどんなにラウドな楽曲や高速のビートでも、フレーズのひとつずつや歌のメロディライン自体にポップで親しみやすい感触が宿っているのが、このトリオの魅力。そこはヴォーカルの宮本菜津子が公言しているとおり hide やくるりといったアーティストからの影響で歌メロを大事にする感性が自然と備わっていることが大きいのだろう。本アルバム中でも出色の出来は “ONEDAY”、“さんざめく” といったミディアム・バラードであり、こうした曲での流れてゆくような情緒性は彼女たちの新たな個性となりつつあることがわかる。セルフ・プロデュースでありながら、自分たちの長所をしっかりと熟知して作り上げた良作だ。
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