作曲家として本格的なキャリアをスタートさせる前、若き日のシューマンはピアニストとしての輝かしい未来を夢見ていた。しかし、その道は手の故障によって阻まれることになる。そんな頃、シューマンは一時チェリストへの転向も考えていたという。彼は、まるで歌うように奏でられるチェロという楽器を深く愛し、その思いは1850年、40歳の年に書かれた「チェロ協奏曲」で大きな花を咲かせることになる。希代のチェロ奏者ソル・ガベッタとバーゼル室内管弦楽団は、一般的な演奏と比べてチェロの表現に大きな自由を与え、軽やかなタッチでこの名曲を奏でている。ガベッタは、特にゆったりとした第2楽章でビブラートを控え、ピュアでナイーブな表現をものにした。一方、チェロとピアノのための楽曲では伴奏を務めるベルトラン・シャマユが1847年にウィーンで製造されたフォルテピアノを使用し、ガベッタのチェロとともに滋味深く表情豊かな演奏を聴かせてくれる。
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