1980年代を代表するアイドルであり、現在も愛され続けるボーカリスト中森明菜がブレイクするきっかけとなった1982年のセカンドアルバム。デビューアルバム『プロローグ〈序幕〉』から続く小田洋雄のプロデュースだが、先行シングルの「少女A」がヒットしたことで“不良”にコンセプトを切り替え、アイドルのアルバムとしてはハードなサウンドに仕上がった。しかし結果的に、この転換によってアイドルが乱立する黄金時代で飛び抜けた存在となり、彼女自身の歌唱力の高さが再認識されることに。ツッパリや不良といったイメージが強いものの、当時の流行を反映しながらタイトル通り、楽曲はバリエーションに富んでいる。来生たかおや南佳孝が手掛けた楽曲は大人っぽいムードを醸し出し、和泉常寛作曲のバラード「カタストロフィの雨傘」がドラマチックに全体を締めくくる。何よりも中低音の魅力的な表現力と伸びやかなハイトーンの歌声は、やはりアイドル離れしたものを感じさせる。