U2 の「The Joshua Tree」や Coldplay の「Viva La Vida Or Death And All His Friends」を手掛けたトップ・プロデューサーの Brian Eno 。彼が Talking Heads の David Byrne と共にコラージュの手法を駆使して、ファンクやワールド・ミュージックの要素をフィーチャー。後の音楽シーンに多大な影響を与えた名作「My Life In The Bush Of Ghost」から27年。再び出会った2つの才能は、 Eno が送ったインストゥルメンタル・トラックに Byrne が歌詞とメロディを付ける作業から始まった。それらトラックに電子音楽とゴスペル音楽のニュアンスを感じ取り、2人で発展させたのが本作だ。前作が緊張や断絶、高揚のアルバムだとすると、オープニングの “Home” から穏やかなサウンド・テクスチャーが広がる本作は癒しや大きな時の流れ、その流れが帰り着く場所を意識させる。ハリケーン・カトリーナ後のニュー・オリンズについて歌った “The River” や何の変哲もない日常で隣人の車が爆発するというストーリーが展開される “Everything That Happen” など、その根底にあるテロや戦争といった社会不安や経済不安をエレクトリックでいて、あたたかいサウンドとリリックがポジティヴに転換する。知性派2人の共演作ということで真っ先に手法が取り沙汰されがちだが、パーソナルな感情が先立っているという意味で極めて斬新なエレクトロニック・フォーク・ゴスペル・アルバムだ。
その他のバージョン
- デイヴィッド・バーン
- Talking Heads
- Antony & The Johnsons
- Gang Gang Dance
- デヴィッド・シルヴィアン
- マイ・モーニング・ジャケット
- Kitty, Daisy & Lewis