『The Queen Is Dead』のリリース後、モリッシーとジョニー・マーの不和は修復不能のレベルまで高まり、ザ・スミスは1987年についに解散。彼らの解散後にリリースされたラストアルバムである本作は、2人の軋轢とコミュニケーション不全と、それでもなんとか関係修復しようともがく未練が入り乱れた、当時の彼らの状況が生々しく刻まれた一作となった。前作までの、モリッシーとマーが2人で一つになるようなマジカルなタッグは本作では見られないが、それでも「Girlfriend In a Coma」や「Stop Me If You Think You've Heard This One Before」のようなバンドの代表曲を生み出している。散りぢりになったスミスサウンドのピースをなんとかかき集め、集大成させた作品といえるかもしれない。「誰かが僕を愛する夢を見た」と歌う「Last Night I Dreamt That Somebody Loved Me」は、彼らの最後に相応しい壮大なオーケストラルバラッド。「僕」は夢から覚めたら誰も自分を愛さない、とでも言わんばかりの、それはまるで、スミスの解散によって再び一人になる自分をモリッシーが予言したかのようなナンバーである。このアルバムはApple Digital Masterに対応しています。アーティストやレコーディングエンジニアの思いを忠実に再現した、臨場感あふれる繊細なサウンドをお楽しみください。