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アーティストプレイリスト
- 鋼鉄のタッチの異名を持つ20世紀を代表するピアニストの一人。詩情と歌を備えたベートーヴェンが十八番。
- 2021年
- 2023年
エミール・ギレリスについて
20世紀において最も偉大なピアニストの一人であるエミール・ギレリスは、圧倒的な技巧と磨き上げられた音色、あふれる情感、そして、誠実な音楽性とが融合した、極めて独創的な演奏技術で称賛を集めている。ギレリスは1916年に当時のロシア帝国、現在のウクライナのオデッサで生まれた。彼の初期における演奏は天性の説得力を感じさせるものであり、1933年にモスクワで開催された第1回全ソ連演奏家コンクールでは、リストの「モーツァルト『フィガロの結婚』の主題による幻想曲」を演奏して聴衆を驚愕(きょうがく)させた。1935年にレコーディングされた同曲の音源は、その若さゆえの高揚感と驚異的なテクニックを力強く伝えてくれる。同年、オデッサ音楽院を卒業し、その後ゲンリフ・ネイガウスに師事して学びを深めた彼は、1944年にプロコフィエフの『ピアノ・ソナタ第8番』を初演するという大役を果たした。ギレリス自身は内気で控え目な性格で、自己批判的な傾向が強い人物だったとされるが、その名声は世界へと広がり、彼は、西側でコンサートを開くことを許可された最初のソ連人アーティストの一人となった。1955年には熱望する声を受けて初のアメリカツアーを行っている。そのキャリアの中でギレリスの演奏は、初期の強烈な名人芸といった印象が強いものから、より繊細で、内向的な表現へと移り変わっていく。1949年に行ったサン=サーンスの『ピアノ協奏曲第2番』は、最もきらびやかで魅力的な録音の一つだが、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集 (残念ながら生前に完成させることはできなかった)では、楽曲に含まれる深い人間味を丁寧に表現している。とりわけ、1974年にレコーディングしたグリーグの『抒情小曲集』では、深い詩情、自然に湧き出るような叙情性、極上の音色といった彼の芸術性が、余すところなく発揮されている。ギレリスは最晩年まで活動を続け、1985年に69歳でこの世を去った。
- 出身地
- Odessa, Russian Empire
- 生年月日
- 1916年10月19日
- ジャンル
- クラシック