ワン・ダイレクション

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ワン・ダイレクションについて

ワン・ダイレクションの歴史が始まって間もないころ、ゼイン・マリクは踊ることに違和感を覚え、『The X Factor』(イギリスの音楽オーディション番組)のダンスコーナーから降りたことがある。結局彼はステージに戻って来たが、それは前例にない出来事だった。ワン・ダイレクション(通称「1D」)はポップ史上最大級のボーイズグループだが、だからと言って彼らが必ずダンスを約束するとは限らない。南アフリカのサッカースタジアムを9万5千人のファンが埋め尽くしたり、“Directioner(ディレクショナー)”と呼ばれる熱心なファンがリアムのホテルの部屋に忍び込み、彼の下着を盗んで一日着て回ったり、ロサンゼルスの高速道路の路肩でハリーが吐いた場所が聖地になったりと、彼らの周りでどんなにクレイジーなことが起ころうとも、他のグループにはない親しみやすさが失われることはなかった。風変わりなミュージックビデオを作ったり、インタビュー中に大笑いしたり、2013年のMTV Video Music Awardsではリアーナの後ろに座ったハリーがオレンジを剥いていたこともあった。 確かにすごい奴らだが、人生の宝くじに当たったと同時に、他の誰もと同じように、ただ流れに身を任せて生きる5人のキッズでもあったのだ。 もちろんワン・ダイレクションは、女性や10代の若者に向けた曲作りを心得ていたが、それ以上に、彼らはそのファンの存在を真摯(しんし)に受け止めることを信条とした。ポップスターの座に身を置きながらそんな同胞意識を持ち合わせられたのは、新鮮かつ必然だったのかもしれない。活動休止中に自分たちの成功を振り返ったハリーは、なぜ10代の女の子の嗜好(しこう)が中年男性のそれと同じように真剣に扱われないのか、疑問に思ったらしい。はたして、10代の女の子の愛よりも激しく、献身的な愛など存在するのだろうか、と。ロンドン出身のワン・ダイレクションは、オーディション番組『The X Factor』のソロ候補者だったナイル・ホーラン、ゼイン・マリク、リアム・ペイン、ハリー・スタイルズ、ルイ・トムリンソンが集まって2010年に結成したグループで、当時は大々的に話題になることもなく結果は3位に終わった。しかし彼らはグループに足りない部分を仲間意識でカバーしながら、それぞれの個性を生かした5人組として登場する。2011年にデビューアルバム『Up All Night』をリリースする頃にはすでに知名度は高く、イン・シンクが解散して以来空いていたポップシーンの隙間を埋める存在になっていた。『Take Me Home』がリリースされたのは、それから1年足らずのことである。2013年の『Midnight Memories』までにさらに自信を付けると、ティーンポップにアリーナロックやフリートウッド・マック流のポップのテイストを取り入れ、世代間をつなぐタイムレスなサウンドを作り上げていた。注目すべきは、彼らが大半の曲を自作もしくは共作していたことで、それはいわゆる量産型ボーイズグループのイメージとの決別を意味していた。2014年の『Four』と2015年の『Made in the A.M.』の間にゼイン・マリクが脱退し、後に残りのメンバーも活動休止を発表。2015年の大みそかにファイナルライブを行った。「あの当時は、自分たちだけの小さな世界に隔離されていて、僕ら以外はみんな外にいるみたいだった」と、ナイルは2019年にApple Musicに語っている。「僕たちは跳ね回って思い切り楽しんでる、ただの若者だった。深く考えることもなかった。ただありのままの状況を満喫してたんだ」

出身地
London, England
結成
2010年7月23日
ジャンル
ポップ

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