世界を旅する感覚を音楽で表現したのがTHE BOOMである。宮沢和史（Vo）、小林孝至（G）、山川浩正（B）、栃木孝夫（Dr）はスカの要素を持ったロックを鳴らす4人組としてバンドブーム全盛の1989年にメジャーデビュー。その音楽性は作品を追うごとに拡張し、大ヒットした「島唄」（1993年）では沖縄音階を使用、「風になりたい」（1995年）ではサンバのリズムを響かせるなど、常に進化を続けた。宮沢の歌心も高く評価されており、中には「手紙」（1995年）のように濃厚なメッセージ性をはらんだ曲もある。2014年の解散までメンバーチェンジはなく、一枚岩の結束力と共に音楽による世界の旅を続けたバンドだった。