井田由美で聴く「大つごもり」 ラジオ日本聴く図書室シリーズvol.077
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発行者による作品情報
ラジオ日本・聴く図書室第77弾は、樋口一葉の「大つごもり」。裕福な家に奉公に出るお峰の大晦日近辺を描いている。 お峰は、育ての親でもあり、病に伏せている伯父や、幼い弟の年越しに必要な少しのお金を貸してくれるように、御新造さんに頼むがが断られてしまう。仕方なく引出しにある札束から二枚を抜き取ってしまう。 その後、その家の道楽息子、石之助が、お峰の過ちを知ってか知らずか、引出しの中の金をすべて持ち出し、借用書を残していく。本作品の中で、樋口一葉は当時の自身を重ね合わせて、明治期の女性の悲哀を浮かび上がらせている。しかし、ただ貧困を嘆き悲しむのではなく、自らの住む貧困の世界と、間逆の裕福な日の当たる世界を、対等なものとしてみつめるしたたかさがあり、そして善人も悪人も、精一杯、人生を生きている姿が、気持ちいいほどに溌溂と描かれている。井田由美の朗読で送る。