フッサール (Century Books―人と思想)
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- ¥850
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発行者による作品情報
「人と思想」は、世界の思想家の生涯とその思想を、当時の社会的背景にふれながら、立体的に解明した思想の入門書です。思想家の生涯を交友関係や、エピソードなどにもふれて、興味深く克明に記述、その主要著書を選択して、概説とその中心となる思想を、わかりやすく紹介してあります。平易な記述と生き生きとした表現を心がけ、新鮮な印象が残るように努めました。一般の方々のハンディな教養書として、また学生・生徒の参考読物として、広く本書をおすすめします。
【Century Books】人と思想 72 フッサール
「事象そのものへ」をモットーとしてフッサールは20世紀哲学の新境地を拓いた。『論理学研究』から『学問の危機』にいたるまで、かれは言語・記号、時間意識、他者問題、相互主観性、生活世界など幾多の今日的話題を提供している。しかしまた、世紀の転回期に生きたかれは、明証性・純粋意識・超越論的(先験的)主観性など伝統的概念を使って思索している。それは古典的哲学者としてのフッサールの姿でもある。かれは伝統と革新の、新旧両思想の結接点である。
それに加えて、厳密さを求める余りか、フッサールの分析・記述は人を辟易させるものがある。しかし、その難渋な叙述の背景に、さきの「事象へ」の精神は絶えず生きつづけている。