ボールルームへようこそ(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

躍動感あふれる作画が魅力の新鋭、竹内友の「ボールルームへようこそ（１）」。2011年連載開始の競技ダンスをモチーフとした作品。やりたいことが見つからず日々思い悩む中学生、富士田多々良（たたら）は、現役トップダンサーの仙石要と偶然出会ったことからダンススタジオに足を踏み入れ、競技ダンスにのめり込んでいく。大人のたしなみとして知られる社交ダンスだが、近年はスポーツ性を高めた競技ダンスとして注目が集まっている。作者は大学在学中に競技ダンス部に所属していたという。練習や試合の苛酷さは真に迫り、専門的な視点が数多く盛り込まれるとともに、「ラテンアメリカン」「スタンダード」といった種目の特徴なども分かりやすく解説されている。特筆すべきはステップをはじめとする動作の描写で、レッスンシーンでは非常に丁寧に足の運び方が描かれており、思わず足を動かしたくなってしまうほど。高い画力とダンス経験を持つ作者だからこそ活写できた傑作スポーツマンガ。