家族八景
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- ¥490
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発行者による作品情報
幸か不幸か生まれながらのテレパシーをもって、目の前の人の心をすべて読みとってしまう可愛いお手伝いさんの七瀬――彼女は転々として移り住む八軒の住人の心にふと忍び寄ってマイホームの虚偽を抉り出す。人間心理の深層に容赦なく光を当て、平凡な日常生活を営む小市民の猥雑な心の裏面を、コミカルな筆致で、ペーソスにまで昇華させた、恐ろしくも哀しい短編集。
APPLE BOOKSのレビュー
生まれながらの特殊能力で人々の心を読めてしまう主人公・火田七瀬が、重層的な人間心理を赤裸々に明かした連作短編集。七瀬3部作の第1弾である本作は、彼女が住み込み家政婦として活動する18歳から20歳までに目撃した、ワケあり家族のすさまじい憎悪をメインに描いたストーリー。幼い頃から内なる心の声の洪水にもまれて他人との交流を避ける七瀬は、数か月ごとにさまざまな家庭を渡り歩く家政婦になった。世間的には仲良く見える家庭でも、一皮むけば経済的な問題や世代間のギャップで不満は爆発寸前。夫婦はマウンティングの応酬で憎しみを抱え、妄想で心の平安を保っている状態だった。全てお見通しの七瀬の出現によって、家族の常識と神話があっけなく崩壊するありさまはスリリングでグロテスク。SF小説の大家、筒井康隆が1970年に書いたブラックユーモアたっぷりの家族模様は、これまでに何度もドラマ化されている。超能力が諸刃の剣となり、人間に疲れた七瀬のその後を描く『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』も併せて読みたい。
カスタマーレビュー
just fit
、
昔読んだ
大学生の頃読んだけど、もう一度読みたくなった。