潰したい‪女‬

APPLE BOOKSのレビュー

歯に衣着せぬ物言いで人気の著述家、ゴマブッ子による異色の小説「潰したい女」。ある会員制SNSに作られた "潰したい女" というコミュニティを舞台に、そこに書き込む形式で物語が進行していく。主人公は、勝ち女と名乗るコミュニティの管理者で、高学歴、高収入を鼻にかける33歳の女。人生を潰してやりたいと思う女がいる彼女は、自分と同じような感情を抱える人たちを集め、情報交換しようと考えるが、参加者は一向に増えない。仕方なく自分の不幸な生い立ちや、不遇な恋愛経験、会社の後輩の悪口などをつづり始めると、数名の参加者が現れ、不可解な書き込みをするようになる。相手の顔が見えないことで一層、疑心暗鬼になっていく主人公。働く女としての地位を築きながらも、女の幸せは結婚・出産なのだという考えに縛られ自滅していく主人公は滑稽であり、哀れでもある。著者は、異性に好かれる女性になるための法則をブログや著作で提唱し続けている。まさに今作の主人公は、こんな女になってはいけないという反面教師的存在を体現しているかのよう。