黄色い部屋の秘密〔新訳版〕
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発行者による作品情報
【カーを、クリスティーを、そして乱歩を瞠目させた密室ミステリの最高傑作!】 真夜中、令嬢の寝室から助けを求める悲鳴と銃声が響いた。居合わせた父親らがただ一つの扉を打ち破って部屋に入ると、令嬢は昏倒し、部屋は荒らされ、黄色の壁紙には大きな血染めの手形が残されている! だが部屋は完全な密室で、犯人の姿はどこにもなかったのだ! 18歳の少年記者ルールタビーユが、この怪事件に挑む! 密室ものの嚆矢として、常にオールタイムベストの上位に名を連ねる名作中の名作ミステリが、最新訳でここに登場!
APPLE BOOKSのレビュー
ガストン・ルルーの「黄色い部屋の秘密」。ガストン・ルルーは、世界的に人気を博したフランスの推理小説家。この作品は20世紀初頭に新聞小説として発表され、密室トリックの傑作と評されている。タイトルになっている黄色い部屋で起こった惨劇が発端となり、さらに生じる犯人消失事件に、才気煥発な若手新聞記者、ルールタビーユが挑む物語だ。知人の弁護士が事件を振り返り、時系列に書き記すスタイルで進行するため、読みながら謎解きを楽しむことができる。登場人物が見つけたものや彼らの発言の中に縦横に張り巡らされた伏線は、物語の半ばでは犯人探しをする上で混乱させる材料にもなっているが、最後にはパズルのピースが次々にピタリとはまるように決着する。この卓抜な構成力に加え、真実を求める飢餓感をあおりながら傑出した筆力で読者を惹きつける。そして意外な犯人を指摘するクライマックスにおける驚愕は、本作が時を経ても色褪せない秀逸な推理小説であることを証明している。